マンションの光配線方式導入後のインタビュー

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テレビ共同受信設備とインターネット環境整備を目的としたシステムの光化を進める事になった経緯は?


テレビ共同受信設備で使用している配線の同軸ケーブルが経年劣化して、テレビ電波の減衰が発生し、テレビが視聴出来なくなったお宅が何軒か出始めたのが、検討のスタートでした。

改善案としてマンション外壁面へ同軸ケーブルの露出配線工事を提案されたんですが、建物の景観を損なわない施工を望む声が多く寄せられました。

その後、受信サービスより電話線の配管を利用して、テレビ用の光ファイバを全戸へ引き込みする提案がありました。全戸へ既存配管を利用して光ファイバを通す提案で、配管の潰れや曲がり、リフォームでの配管の撤去など懸念点もありました。

受信サービスから「数軒ピックアップして既存配管を利用して、室内へ光ファイバの配線が可能か調査してはどうか」と助言があり、その調査の実施後に、光配線が可能との結果報告を受け、光化をの検討を進めることとしました。
 

マンション管理組合の皆さんへ承認を頂くために苦労なさった点などは

テレビの視聴障害を改善する事が目的として検討はスタートしましたが、テレビだけの改善としては、工事費用が高額となるため費用対効果の面で懸念点がありました。
そこへ、受信サービスよりインターネット環境改善を兼ねた改善案が示されました。

物理的に、各戸へ引き込みする光ファイバケーブルは、1本なのですが、内部に2心ファイバを有する光ケーブルを採用する事で、1心をテレビの環境改善に使用し、1心をインターネット環境改善に使用する用途を提案してきたのです。

当マンションは、電話線を利用したVDSL方式を採用しておりベストエフォート型通信速度が100Mbpsと最も遅いインターネット環境でした。NTTやソニーネットワークコミュニケーションズ(nuro光)へ光配線方式を申し込んでも、幹線通線用の配管や地下ピットなどへアクセスできないため、何度も施工不可という回答をもらっていたので、このような環境でも対応出来るのか疑問でした。

インターネット用の光ファイバが各戸へ引き込みされる事で、光配線方式を選ぶ事ができるマンションへ生まれ変わる期待と、組合員からは本当にできるのか、などの声も出ていました。

これが実現出来ると、建物の景観を損なうことなく、テレビの視聴環境改善とインターネット環境改善(光配線方式)が叶い、工事費投資の見え方も良くなるのではと考えておりました。



実際の施工を確認されてどうでしたか

全戸へ光ファイバの通線が完了し、すべて隠蔽配線で露出箇所は一切なく完工できたことは、大変満足できるものでした。各戸へ配線された光ファイバの端末へは、光コンセント(テレビ用とインターネット用の2つの光コンセント)が設置されました。

集会室には、システムラックが新設され、テレビ用の光送信機とインターネット用光パッチパネル盤が組み込みされてテレビは各戸まで光ファイバで配信され、各戸へは光から電気信号へ変換するV-ONU(テレビ用光受信機)が設置され、4K,8K放送も快適に視聴できるようになりました。

インターネットの環境改善を望む方は、任意で光配線方式1Gbps、最近では10Gbpsを選べる環境となりました。



光配線方式のインターネット通信環境へ実際に切り替えされて、速度や利用用途の改善はどうでしたか

今までは、VDSL方式のインターネット環境しか選ぶ事が出来なかったので、光配線方式の1/10の通信速度で利用していました。
実は、インターネットサービスの月額利用料はVDSL方式も光配線方式も同額となっておりますのでずっと費用面で損をしている感覚でした。

コロナの影響で、仕事ではリモート会議での利用、学校ではインターネット授業や動画配信などの利用が増大し、通信障害で
動画遅延や停止することが多くなり、組合員からも改善を望む声が多く寄せられていました。

工事完了後、すぐにインターネット環境を光方式へ移行しましたが、今までのようなストレスは全く無くなり、スマホの宅内Wi-Fi利用も
快適になりました。

利用から1年程経過し、過去のストレスへは戻れません。マンションの資産価値も向上したと実感しております。




組合委員の反応などはいかがでしたか

VDSL方式から光配線方式へ移行を行った居住者は、ずっと光配線方式を選べなかったのに、テレビ共同受信設備の不具合が切っ掛けでインターネット環境の改善が叶って喜んでおります。

これまでテレビ共同受信システムの同軸ケーブルは、アナログ放送時代のもので、デジタル環境に移行し4K,8K放送を受信するには不安定な状況でしたが、光配線にしたことで、同軸ケーブルの劣化による問題も解消できました。
また、インターネット環境改善がメインになってしまった感じもありますが、時代のニーズに則したものとなったと考えています。

工事を行った効果は、多くの組合員がインフラ改善の重要さを実感できたことと、テレビとインターネットの光化の将来性、拡張性、
耐久性、堅牢性からも光化の提案を採用して良かったと実感しております。

新築マンションがオール(テレビ、インターネットなど)光ファイバで竣工している状況を聞きましたが、マンションの送信拠点から
各戸まで途中にメカニカルな機器などが無いのも、最小限の電気で賄えるエコなインフラなんだと感じております。



最後に、この光配線方式を検討しているマンションへオススメしたいですか

データ通信のコンテンツの高品位化で、膨大なデータがやり取りされている時代になっています。
当マンションで経験しておりましたが、VDSL方式や無線通信などでは、安定した通信環境は得られません。

今後更に、データ量が大きくなると通信障害が発生すると考えていた矢先、テレビの問題が発生し検討を進めた結果、両方共改善してしまいました。

マンション管理組合として、竣工時から計画していた工事ではないため、一時的な出費は高額となりましたが、
得られた効果が大きかったことと、今後のメンテナンスでコストを抑えられる点なども利点と捉えております。

VDSL方式から光配線方式へ移行出来ていないマンションでは、インフラの光化は避けられない改修工事と考えておりますが、
住民のニーズなどを確認しつつ投資金額に見合った、またはそれ以上の効果は得られるのでオススメしたいと思います。




共用部に設置した光パッチパネルから各戸の光コンセントまでの系統





光配線方式の工事を終えて1年で、30%以上の居住者が光化

VDSL方式で、100Mbpsの通信速度しか選ぶ事ができなかったマンションで、光配線方式の工事を終えた後多くの方が、光配線方式へ移行されました。
通信速度は、VDSL方式の10倍の1Gbps(1000Mbps)になり、月額利用料金は従来と変わらないまま、通信速度が高速になり、品質も安定することからメリット以外はありませんでした。

今後も個別のインターネット契約期間満了後などに光配線方式へ移行する居住者が増えてくると考えております。




■インタビュイーのご紹介

マンション名   :サンハイツ石神井公園管理組合
竣工年月     :1984年9月竣工
総戸数      :75世帯
階建て      :6階建て
光配線方式導入工事:2023年9月

2023年度マンション管理組合相談役 ・ 2022年度マンション管理組合理事長
清水 様


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