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地上デジタル放送(以下、地デジ)の受信不良を解決できず、お困りではありませんか?
地デジでは、障害症状がブロックノイズやブラックアウトとなります。原因を特定することが難しいケースも増えてきました。
このページでは、当社で経験した地デジの受信ノウハウの一部をご紹介します。
受信不良でお困りの方や、施工業者など関係者の方々に参考にして頂き、地デジ放送の良好な受信に向けてお役に立てば幸いです。
★ どのような方法で原因を見つけるかが重要である
★ 受信不良の特徴をつかみ見極める
★ 地デジ用の測定器を活用する
■ 地デジ測定器の活用
・ レベルを測定
・ チャンネル間のレベル差を確認
・ CN比(MER)やBERを測定
・ 波形の観測(OFDM波形・遅延プロファイルなど)
受信レベルの状態 | 見極め方法 |
---|---|
すべてのチャンネルが低い | ローノイズブースターを入れる |
一部のチャンネルが低い | アンテナの設置状態を変える 各チャンネルが均一になるアンテナ位置を探す |
一部のチャンネルが高い | 増幅器の発振を確認 妨害源を断つ |
本来なら十分映るレベル(だが映らない) | 遅延プロファイルを見てアンテナの設置状況を検討する |
受信不良地区(地域)で、どの程度の受信レベルがあるかは、事前に把握するのが必須です。
ギリギリの受信限界の時は、レベル変動により微妙に変化するので、すべてのデータのマージン(ゆとり)を出来る限り高くとります。難物ほど高度な技術と測定器が必要になります。
レベル・スペクトラム・C/N・BER(MER)・コンスタレーション・そして遅延プロファイルの測定をして(内容によってC/Nのマージン測定をする)メモリーやデジカメなどで記録します。(当社では状況によってRFキャプチャを用います。)
測定したデータからどのような原因が想定できるか、特徴を良く観察し見極めてください。全体の状況と、一つ一つの状況を見て総合的に判断します。
測定器があってもCN比(MER)が計れない場合は、地デジテレビ本体のアンテナレベル機能を利用します、テレビのアンテナレベルは受信レベルを表示しているのではなく(電波の強さの表示ではない) CN比(電波の質)に近い値を表示しています。
【P社・・表示が40の時 C/Nはその約1/2】
【S社・・表示が60の時 C/Nはその約1/3】 どちらも約20dB
地デジではこの値(理論値 20.1dB以上)が最低の数値です。
メーカーの値を覚えておくと、おおよその目安になります。
※テレビやチューナーの機種によっては、測定器機能を持ったものもあります。
波形を見てください、ハートマークのような波形になっていませんか? 原因は短い距離(約50~100m)の反射などによるマルチパス障害でした。(送電線、鉄塔、湖、水田などによるもの、海面反射は状況によって波形が変化します。)
中継局より発射された電波が伝搬途中にある建造物などで反射しマルチパス障害となります。直接波と遅延波との「差」(路長差)が原因の事もありました。
OFDMの波形でハートマークのように見える短いマルチパス障害は、ブロックノイズやブラックアウトとなり厄介です。
対策
受信点でOFDMの波形を観察しながら、アンテナを数メートルの範囲で移動し調査します。波形が綺麗な台形の型になる位置・高さを探し、その位置にアンテナを移設します。
下図は遅延時間の短いマルチパスのアンテナ対策例です。
一部のチャンネルが時々映りにくいとのことで調査に伺いました。
左のOFDM波形を見ると、周波数特性の真ん中が落ち込んでいます。
右の波形は改善した時のスペクトラムです。OFDM特有の台形になっています。
左下の写真の位置から、右下の写真の位置までアンテナを移動して解決しました。
一般的には遅延波が126μs(走査線 約2本分)を越えるような反射波の遅延は発生しません。
しかし、受信局以外の中継局の電波が混信した場合は、
混信局との間の距離が離れている
複数の中継局を経由して混信電波が届く
などにより発生する事があります。
遅延プロファイルを観測します。図4のような波形になっていませんか。
図3のコンスタレーションのドットが拡散して、CN比やBERが受信可能な値より悪くなり、受信できなくなります。
原因として次のような事が考えられます。
地デジテレビ受信機に必要な入力条件はJEITA(電子情報技術産業協会)の資料で、入力レベルは46~89dBμVとなっています。
【テレビ受信機に必要な最低入力レベル34dBμVに受信時間変動(9dB)など余裕度(3dB)を加算】
地デジ電波のアンテナ出力は(全ての電波条件の良い時)通常約30~35dB以上の電波が必要です。当社の実測値では、テレビの入力レベルが25~28dB程度までは、ローノイズアンプ(20dB NF=1.0dB)を使用することで実用的なレベルとする事ができました。(2010年製を使用)
テレビ入力レベルが約25dB以下では、増幅器を挿入しても効果がないでしょう。
(見かけ上のレベルは上がりますが、テレビ映像は映りません)
電波到来方向が遮へいされている時は、直接波が弱いため反射電波や回折波を利用します。
反射電波の変動がある時の対応方法
反射面が雨などで濡れた時や、建設中の建造物などで反射した時に、反射波の強さが変わる場合もあります、遅延プロファイルの波形を見て確認します。
ビーム幅の狭い20~30素子アンテナの使用は、感度は高いのですが方向調整を確実に行う必要があります。
のちのちの変動も想定されるので、周辺写真を記録するとともに、データもメモリーに保存します。
地デジ受信の良否はアンテナの建て方で決まります。
アンテナを建てる地域や場所の、おおよその受信レベルをDpaの地デジ情報(ホームページ)などで事前に把握し、地域の受信レベルに合ったアンテナの素子数や増幅器の種類を決めます。
アンテナ建ては、アンテナポールの頂点にアンテナ本体を取り付けることが一般的でした。地デジ電波ではUHF帯のため、受信電波の強弱が高さによって大きく変化(ハイトパターン)します。したがって、取り付け位置が最良点とは限りません、ポールの途中に取り付けると良い場合もあります。特に地デジ電波事情の悪い所ほど電波変動が大きいので、電波のピーク点を探し最適受信位置に建設します。
アンテナは本番で建てない!
設置する場所に本番で支線を取らず、アンテナを半固定にして上下左右に移動し最適受信点を探します。次にデータの一番悪いチャンネルに的を絞り、最適受信点を繰り返し探します。
一部のチャンネルが、映りにくい・時々映らない・映らない時は、上記対応法を繰り返し行います。(最終的に美観上の問題もあるのでアンテナの取り付け位置によっては最良点でポールを切る)
※簡単に説明すると電波の強弱には山と谷があり、電波の山(強い所)にアンテナを取り付けます。
地デジ電波を受信した時、すべてのチャンネルが同じ受信レベルにならない場合があります。受信レベルが低くなるとブロックノイズが発生したり、受信不能になることがあります。
県域局は広域放送のチャンネルと比較し、放送エリアが狭いために送信電力が一般的に低く受信レベルが低くなります、その他のチャンネルでも受信レベルが低下する原因として次のようなことが考えられます。
受信レベルが低下した原因を究明し、それに対する対策を行う必要があります。
地デジは、受信レベルやその品質が一定以上あれば良好に受信できますが、受信レベルや品質が低下すると、急激に受信ができなくなります。
これはデジタル放送特有の現象です。(携帯電話の通話が突然途切れる現象と同様です。)