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受信障害調査には、基本的に障害を受けているチャンネルの各種データを「デジタル信号アナライザー」などで測定します。これにより障害源が推定できれば、次のステップに進むことができます。
しかし、例えば業務用無線局などは、テレビチャンネルの帯域外のため「デジタル信号アナライザー」では正確な測定ができません。
このような妨害は、例えばタクシー無線の場合は460MHz帯を使用していますので本来テレビに障害を及ぼすことはありません。
しかし、弱電界地域や受信信号の多分配などのためにブースターを使用している場合は、UHF13チャンネルの直ぐ下で強力な電波を発射されると、ブースターのスカート特性の中に妨害波が入り、この妨害波も増幅してしまいます。
このような無線の電波は比較的強力にブースターに入力され、ブースターで入力オーバーとなり混変調や相互変調を発生します。画面症状は「時々テレビが映らなくなる、ブロックノイズが出る」となります。
アナログ放送の場合は、画面に斜めの線(ビート縞)が出て、目視で障害源の見当が付けられましたが、デジタル放送ではこの手法を使うことはできません。
そこで活躍するのが、「障害探査用アンテナ」と「スペクトラムアナライザー」(デジタル信号アナライザーではありません)です。
障害探査用に使用するアンテナは、妨害電波がどの周波数で出ているのかを把握するためのものです。このため、 テレビ用に作られた受信アンテナでは帯域が限定(UHF-LMなど)されているために、帯域外の妨害波は非常に弱く受信されることになり、見逃してしまうことがあります。
このため、帯域毎にアンテナを揃えるのは大変ですし、調査に膨大な時間を必要としますので、超広帯域のアンテナが必要になります。
そこで、昔からあるアンテナで一時はテレビ用にも市販されていた「ログペリオディック・アンテナ(対数周期アンテナ)」に着目して探しました。
このアンテナの特徴は次の通りです。
○「帯域が広い」(例、105MHz~1300MHz)
○「前後比が良い」(例、15dB程度)
○「利得が高い」(例、10dB程度)
一般に、デジタル障害はデジタル信号アナライザーで信号波形を解析しますが、これはチャンネル帯域内に妨害を受けた時や、テレビ電波の伝搬途中での障害の場合には有効です。
しかし、テレビの帯域外に原因が潜んでいる場合には、デジタル信号アナライザーは向いていません。この理由は、デジタル信号アナライザーは測定がチャンネル毎に固定されているためです。デジタルチャンネルを測定するには便利ですが、これではチャンネル以外の周波数の測定ができません。
そこで、活躍するのが「スペクトラムアナライザー」です。例えば10MHz~1GHzを一度に表示し、テレビ電波以外に不要な電波が受信されていないかを瞬時にチェックすることができます。
この時活躍するのが超広帯域の「ログペリオディック・アンテナ」との組合せです。
ブースターに係わる障害は、主に460MHz帯付近の業務用無線と、700MHz・800MHz帯の携帯電話基地局の電波、これらを同時に観測できる超広帯域アンテナとスペクトラムアナライザーの組合せは欠かすことができないものです。
このアンテナは、別名「対数周期アンテナ」と呼ばれ、専門的には「自己補対アンテナ」がその原理となります。
これは、2枚の三角形の板(三角形でなくとも対称系であれば良い。理論上は無限大の大きさ)の一つの頂点にフィーダー線を接続したもので、周波数やアンテナの形に関係なくマッチングが容易になるという原理を利用したものです。
これを実現するために無限大のエレメントは出来ませんので、図.1のような三角形のコーナーとコーナーをエレメントでつないだ形が考えられました。これにより、広帯域性が確保され、さらに三角形を折り曲げて上下に二面配置することで指向性が単方(前後比が良くなる)となりました。(出典: IRE 1958)
このアンテナは、昭和40年代に電気興業からVHFテレビ用に「ニジ・アンテナ」と称して販売されていましたが、現在は有りません。(当時、建造物障害が多くなりつつある時代で、前後比の良さが利用されました。)
この形のアンテナは、前述のように広帯域性などに特徴がありますが、図.1のように複雑な構造のため、メンテナンスも大変でした。このため、世界的に研究がなされ、いろいろな形に変形されました。
(出典:遠藤他,“アンテナ工学”,日刊工業新聞社,昭和44年)
(1)ダイポール列型ログペリオディックアンテナ
調査に使用したアンテナは、比較的取り扱い容易な「ダイポール列(IRE Trans 1960)」型と言われるもので図.2のような構造をしています。
このアンテナは、異なるエレメントを並列接続させるのではなく、自由空間とアンテナのインピーダンスを滑らかに接続する構造のものです。
図.2からイメージできるように、このアンテナは各ダイポールアンテナの間隔を対数周期的に配置されています。
また、広帯域特性を得るために必要な帯域分だけエレメントを並べた構造とし、各エレメントの給電部をそれぞれ逆相に接続することで広帯域と単一指向性を得ています。
(2)使用したダイポール列型ログペリオディックアンテナの指向特性(図.3)と
VSWR特性(図.4)を示します。
(出典:クリエート・デザイン(株)、組み立て説明書、1994-7)