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増幅器(ブースター)の耐用年数について

 マンション等の集合住宅では、屋上の共用アンテナで受信した電波を全戸に分配しなければなりません。電波は、例えば50戸に分配すると一戸あたりは1/50になってしまいます。この弱くなってしまう電波を元通り強くする機器が「ブースター」と呼ばれる増幅器です。

耐用年数、寿命について

 ブースターは、電気で動作しているため、経年による性能劣化や故障することもあります。よく“「耐用年数」は何年ですか” と聞かれますが、ブースターの「耐用年数」とは何年でしょう。

(1)実は「耐用年数」という用語は、“財務省令に定められた建物・機械など固定資産の税務上の減価償却を行うにあたって、減価償却費の計算の基礎となる年数”のことです。したがって、故障するまでの年数を表した年数ではありません。(例:テレビは5年、ブースターは無し)

(2)一般的に言われている “耐用年数” や “寿命” の意味に当たるのは、製造業の表示規約「家庭電気製品の表示に関する公正競争規約」の公正競争規約の運用機関である全国家庭電気製品公正取引協議会(略称:家電公取協)で、定められた「補修用性能部品の保有期間」および「保証期間」が相当するでしょう。

別表3 補修用性能部品表示対象品目と保有期間

(3)「補修用性能部品の保有期間」とは、その製品の機能を維持するために必要な補修用性能部品の保有期間です。家電公取協では “テレビは8年”(ブースターは無し)と決められています。

 例えば8年を越えたテレビの故障修理は補修用性能部品が無いために修理不能、つまり廃棄ということになります。この状態を耐用年数とか寿命と呼んでいると考えられます。

 また、「保証期間」とは、無料修理等を行う期間の始期及び終期を表示すると定義されています。

(4)しかし、これらの定義の中にはテレビ用のアンテナやブースター等は入っていませんので、メーカーカタログ等から検索すると幾つかのメーカーで家電公取協の定義に準じて独自に決めているメーカー・機種があります。

 例)補修用性能部品・保証期間、有り
 「8年」BS・110CSアンテナCBD-040ST、「8年」BS・110CSアンテナBC751、
 「8年」地上・BS・110CSデジタルチューナー、など

(5)また、製造物責任法(PL法)では、機器を引き渡した時から10年間の間に他人の生命・財産等を侵害したときは、製造業者等は損害賠償の責任を負うことになります。

 テレビ用機器(ブースター等)に該当する補修用部品保有期間は、テレビの機器ということで「テレビ8年」に準じて、8~10年程度を目安とするのが望ましいのではないかと、当社では考えております。

 テレビ機器の中でもブースターは、取り付け方(設置方法)で使用できる年数が大幅に変わってきます。(5~6年の場合や10年以上の場合と幅があります。)

(1)この年数の違いは、ブースターの使用環境(設置場所)に大きく影響を受けます。

図1 壁面への設置図          
(空気が放熱フィンに沿って流れる)   
図1 壁面への設置図

(a)メーカー指定のブースターの取り付け方は、収納ボックスや壁面に垂直(図1)に取り付けて、空気の流れを確保するようになっています。

(ブースター背面のヒダヒダは放熱用のもので、この中を風がスムーズに流れるようにすることで、ブースターの性能や使用年数を延長することが可能になります。)

図2 放熱フィンを横方向に設置     
(空気が流れにくい)          
図2 放熱フィンを横方向に設置

(b)ブースターを図2のように、放熱板が空気の流れに直角になるように取り付けた場合は、空気がスムーズに流れないため内部の温度が上昇し、劣化を早めます。

図3 天井設置             
(熱が機器周辺に滞留する)       
図3 天井設置

(c)ブースターを図3のように、浴室の天井や、背の低い天井に、貼り付けて設置した場合、放熱板が有効に働かず、高温になってしまいます。

(正規の取り付け方より10度以上高くなる。実測値66℃)

(2)収納場所の狭隘化と機器の小型化と密集

 最近の傾向は、収納場所が狭くなり、ブースター本体も小型化しているため、集積密度が高くなり、より発熱する傾向にあります。

(3)ブースターの周囲温度と温度特性

 ブースターは、内部にトランジスターや電解コンデンサーを多数使用しているので、温度により本来の特性が維持できなくなる場合があります。

 ブースター等の温度特性には、アレニウスの法則が当てはまると言われています。この法則は、「動作温度が10度上がると、寿命は1/2になる(10℃2倍則)」という法則です。このため、温度上昇はブースターに取っては大敵です。(反対に温度環境が良いと機器は長持ちすることになります。)

 当社の例では、上記の対策の結果、最近まで約20年95%故障無しで動作していた事がありました。

(4)ブースターの発熱について(特に夏期)

ブースターBOX内           
放射温度計での実測値66℃       

 夏期の外気温が高い時期は、BOX内の増幅器の温度は高くなり、ブースターの種類や設置条件により、異常なほど高温(半熟のゆで卵ができそうな感じ)になります。

○夏期発熱の簡単な対策方法
 シャフト内や廊下に設置されているブースターBOXの扉を半開きにして放熱します。(但し、安全上の問題がありますので十分注意してください。外気温が低くなったら扉を閉めてください。)

 当社で実施している温度上昇に関しての対策は、下記の「当社の設置工事」をご覧ください。

当社の設置工事

 当社では、ブースター等の機器を設置する場合には、下記のような点を心がけ、設計・施工しております。

  • ブースターによって発熱量が大きく異なるため、通風の良い取付位置を選定します。(状況により換気用ルーバーの増設等が必要になります)
  • ブースターの交換時、発熱量の少ない機種(スイッチングレギュレータ型)に変更します。
  • 節電対策としてECOブースターへの改修を提案します。
  • ボックスの配管の位置と、ブースターの設置位置を検討します。(温度上昇、対流、漏水等)
  • ブースターから遠い部屋は電波が弱いので、電波のバランスを均一化させるため高出力ブースターを使用した、余裕のある設計を提案します。

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