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テレビ共同受信設備において、アンテナ受信した電波やケーブルテレビ、光(フレッツ・テレビなど)から供給されてくる電波を、各住戸まで分配するための配線が同軸ケーブルです。同軸ケーブルは周波数が高くなると、地デジ→BS→CSの順に電波の減衰が生じます。この度合いを調査するのが「ケーブル伝送テスト」です。
ケーブル伝送テストは、同軸ケーブルの性能(周波数特性)を調査して、そのデータを施設全体に当てはめ、端末テレビ端子のレベル計算が出来るようにする調査です。地デジやBS・CS、4K・8K電波などの改修で、必要以上に増幅器を設置したり、使用できるテレビ端子を交換したり、工事したけれども電波が流れなかったり、というような無駄な工事費をかけないようにします。
改修に当たっては外配線工事は、美観上の問題や資産価値の低下、改修工事費用も高いので最初からご提案することはいたしません。また、同軸ケーブルの抜き替えが出来るかどうか、状況によって調査しますので、同軸ケーブルの配管があれば、外配線なしにケーブルを抜き替えるリニューアル工事ができます。
弊社は同軸ケーブルにおけるケーブル伝送テストを1989(平成1)年から実施しており、その豊富な過去のデータを活用して端末レベル計算を実施し、最適な改修案をご提案しています。
しかし、ケーブル伝送テストの結果、粗悪な同軸ケーブルが使用されている場合は、対応不可能という結論になる場合もあります。
最近では、光ケーブルによる改修工事など、新しいご提案もしております。
○ 最近、簡易な伝送テストを行うための発振器が市販されています。
・この測定方法は、左図に示す帯域内の3ポイントのみ測定し、全帯域を推定します(点線)。
・この方法では、右図のように測定ポイント以外の同軸ケーブルの異常を発見することはできません。
弊社では、特別な発振器を持つ測定器(TG機能)を使用し、右図に示すように精密な測定を行って、4K・8Kテレビの導入判定をしています。
既存の同軸ケーブルに広帯域の試験電波を伝送し、各帯域毎の損失を測定します。
壁の中に隠ぺいされている同軸ケーブルのルートを探査します。(リフォームやテレビ端子増設などを行っている場合は、同軸ケーブルのルートを変更することが多いです。)
5C-2Vでも製造年やメーカーなどにより特性が異なります。
(5C-2Vは、高い周波数での損失が多く、これからの4K・8K伝送には適しません。)
特性のバラツキの原因は
・内部導体が細い
・外部導体の編組が粗い、少ない
・中心導体がずれている
などが影響するケースがあります。
同軸ケーブルの敷設方法に起因する事もあり、同軸ケーブルの配線固定の際に結束バンドやステップルで潰れるほど圧力を加えるとインピーダンスが変化し伝送特性も悪化します。
超発泡型同軸ケーブルは、曲げ角度によって特性不良が生じます。
誘電体の純度不良やムラなどにより誘電率が不均一になったと考えられる製品もあります。
同軸ケーブルの特徴
誘導体が空気に近い材質になれば伝送損失も少なくなります。
既存同軸ケーブルは特性が悪く利用不可
・既存配管内の抜き替え工事
既存テレビ端子裏の特性の悪い同軸ケーブルを抜き替えます
テレビ端子盤からテレビ端子までの間の同軸ケーブル抜き替え工事中
テレビ端子盤からテレビ端子までの間の同軸ケーブル抜き替え工事中
テレビ端子盤からテレビ端子までの間の同軸ケーブル抜き替え工事中(F型テレビ端子に交換が必要)
既存テレビ端子裏の特性の悪い同軸ケーブル抜き替え工事後
既存同軸ケーブルは特性が悪く利用不可
既存配管内の抜き替え対応不可
・外壁面露出配線工事
新規で外壁面にテレビ配線を敷設
エアコンの穴より室内へ入線
室内の立ち下げ配線はモール配線
既存のテレビ端子入力へ露出で接続します
周波数帯 | チャンネル番号 | 周波数帯域(MHz) |
---|---|---|
MID帯(ミッドバンド) | C13~C22 | 108~170 |
SHB帯(スーパーハイバンド) | C23~C63 | 222~468 |
UHF帯 | 13~52 | 470~710 |
BS-IF帯 | BS1~BS15 BS17~BS23(拡張チャンネル) | 1049.48~1318.00 1356.36~1471.44 |
CS-IF帯 110度CS右旋円偏波 スカパー! | ND2~ND24 | 1623~2053 |
CS-IF帯 スカパー!(共聴タイプ1) | JD1~JD15、JD2~JD16 | 1400~1880 |
CS-IF帯 スカパー!(共聴タイプ3) | JD1~JD15、JD2~JD16と JD17~JD25又はJD18~JD26 (JD27とJD28は受信不可) | 1400~1770 |
同軸ケーブルの種類 | 対応周波数帯域 |
---|---|
5C-2V | VHF~UHF受信用 |
5C-FL | VHF~UHF受信用 |
5C-FE | VHF~UHF受信用 |
5C-FB | デジタル対応・VHF~UHF(BS?)受信用 ※BS・CSも対応できると思いますがメーカー保証なし |
S-5C-FB | デジタル対応・VHF~BS・CS受信用 |
当社で測定したデータの一例です。(過去の資料より)
今後は、S-5C-FB以外のケーブルは使用する事が出来ない場合があります。(2018.5)
測定条件 | |
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スペクトラムアナライザー | ROHDE&SCHWARZ(ローデ&シュワルツ) FSH3(ドイツ製) |
グラフの横軸 | 周波数 表示周波数幅 2600MHz(1番左が0MHz 1番右が2600MHz) 中心周波数 1300MHz(10マスある中 ちょうど真ん中1300MHz) BS15チャンネル付近を表す |
グラフの縦軸 | 10MHz(10マスあり、1つのマスが10デシベル) |
5C-2V の例 | |
VHF,UHF受信用ですが、性能が良いので、地デジ・BS・CSにも使用できます | |
危険なケーブル 地デジの帯域からBSの帯域手前まで異常な減衰(凹部)があります | |
使用不可能 地デジ(UHF等)の帯域が全く使用できません | |
使用不可能 全ての帯域において減衰が大きく使用できません |
5C-FE の例 | |
VHF,UHF受信用ですが、性能が良いので、地デジ・BS・CSにも使用できます | |
使用不可能 地デジの帯域に凹部があり全く使用できません |
5C-BVF の例 | 5C-SVF の例 |
S-5C-FB の例 | |
性能が良い ※地デジ・BS・CSにも使用できます |
S-7C-FB の例 (一般的に幹線ケーブルに使用されています) | |
BS日テレとBSフジが映らない BS13chが全く使用できません | |
BS13ch 1266.14~1293.14MHz 中心周波数1279.64MHz 左は上図の受信不良帯域(凹部)を拡大したもの。一番減衰が多い帯域にマーカーを合わせ1280MHzであることを確認。ほぼBS13chの中心周波数でした。 |
次図は、上記「S-7C-FB」の中心導体が偏っていたため特性不良が生じ、異常な減衰状態をデジタルアナライザーで測定したものです。
BS13チャンネルのC/N=6.5dB、BER=1E-1(誤り訂正前)で、コンスタレーションもバラついています。誤り訂正後(POST)も2×10-4をクリアしていません。
この状態では受信できません。
C/N=21.0dB、BER=2.1E-4(Pre)に改善され、コンスタレーションもTC8PSKの形になっています。
原因はメーカーの製造行程上のミスと思われます。
製造メーカー、製造年度の公開は控えさせて頂きます。
同軸ケーブルは一般的に黒色のケーブルを使用しますが、それ以外の色も多く使われています。野外で長期間経過したケーブルを観察してみると、外被色により劣化度が異なっていました。特に白・灰色は、内部に巻かれているアルミテープが風化しボロボロな状態のものが多くありました、これは紫外線による影響と考えられます。
同軸ケーブルの劣化により、伝送特性が悪くなる、損失が増大する、特定の周波数でディップするなどの症状が現れる場合もありますので、注意しなければなりません。
白・灰色などの色ものを野外で使用する場合は、数年で劣化する場合がありますので十分に気をつけてください。使用する場合は紫外線の影響を受けない室内用として使用しましょう。野外で長期間使用する場合は、経年劣化を抑える事のできる黒色(炭素系)をお奨めします。
ビニールテープや束線バンド、縛りひもで固定します、上記と同じ理由で黒色を使用した方が良いでしょう。(電気工事などで使用されるグレー系のビニールテープは劣化が早いので注意してください。)
束線バンドは野外で使用する場合、特に白色は数年で劣化する事があります。事故に繋がる事も考えられますので注意しましょう。野外では黒色を使用する事をお奨めします。
ケーブルを固定する場合、ステップル止めは同軸ケーブル本体に食い込むほど打ち込むと、特定の周波数の地デジや、BS・CS帯域まで影響して映らないという事があります。ビニールサドルや同軸専用固定サドルを使用しましょう。野外ではメッセンジャーワイヤーに絡ませる工法もあります。道路横断や縦断には地上高などの規則があります、安全対策など十分に気をつけましょう。